ねがい

 ある青年の下に、女神が現れた。
 女神は彼の願いをひとつだけ叶えてくれるという。
 青年は女神に願った。
「僕の恋人になって下さい」
 女神はその願いを聞き届け、人の身をもって彼の恋人となった。

 幾つかの季節と思い出を重ね、二人は周りも羨む「恋人同士」になってゆく。

 数年が過ぎた後、青年は恋人にプロポーズをする。
「僕のお嫁さんになって下さい」
 恋人である女神は首を横に振った。

「叶えられる願いは、ひとつだけです」
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