俺イズム


分かったことがある。
自分のこと。
やっと自分のスタンスが分かった。
声に出して世界中に伝えたいけど、
今はここで小さく囁こう。
俺は、プロにならない。
アマのまま、本気で進む。
プロは金を儲けて、世界に認めてもらうものだ。
俺はどう考えても不可能だ。
この立派な世界には、認めてもらえない。
だから本気にならないのか?
そうじゃない。だからこそ、本気で
手の届く範囲のことに取り組む。
一生でどれだけの苦痛を消せるか分からない。
だから、俺はプロは名乗れない。
いいじゃないか。それで。
いかにも半端な俺らしい。
他の人から見れば些細なことにでも
命をかけよう。それで命を落としても。
それはそれで構わないだろう?
今、やっと分かった。
自分の生き方が。

道で重い荷物を持っている人がいれば
腕が折れていても、荷物を持つ。
その人はきっと迷惑だと言うだろう。
でも、知らない。俺がそうしたいから
するだけ。

自分本意な生き方だろう。
世界中の誰よりも。だから、それが良い。
人間らしくて良い。
物事を斜めからしか見れないのなら、
何も見ないのか?
そうじゃない。
汚れていても、傷付いていても、
それを許容してやろうじゃないか。
勝手な生き方だ。それが
俺のスタイル。

現実に打ちひしがれて
部屋に閉じこもって泣いている奴は
俺が現実の辛さも、楽しさも
教えてやる。
俺にも分からないことがあるから、
教えてもらうこともあるだろう。
そして、奴が現実と上手く渡り合えるようになるまで
付き合ってやろう。
一日だろうと、一生だろうと。
迷惑だろう、絶対に。でも、知らない。
俺がそうしたいから、する。
もしも俺の言葉でソイツが傷付き、
死のうとするのなら、
俺が先に死のう。
人を一人救おうというんだ。命を賭ける価値はあるだろう?
その後、ソイツがどうしようと、
俺は何も言えない。
ソイツはもう、自分で決めることだけは
憶えただろうから。
それだけで、俺は
死んでも構わない。

世の中全ての常識人が
俺の生き方を否定する言葉を
幾つも用意するかもしれない。
もしかしたら相手にもされないかもしれない。
でも、どうでも良い。
否定の言葉は、俺の本当の思考を知らなければ
価値が無い。
相手にしてくれないのなら、
狙い通りだ。
それだけで俺は自由に、やりたいように
自分を貫ける。
中には本気で俺をコキおろす奴もいるかもしれない。
上等だ。
お前はどう生きるのか、
その答えを用意してからかかって来い。
俺を傷付けるのなら
命を賭けろ。
俺は自分の人生に命を賭けた。
生きるということに。
お前はどうするのか、命を賭けられるのか
それに答えられるなら
俺は相手になるだろう。
どこからでも、な。

俺、俺、俺。
俺のことばっかり言っているが、それも当然のことだ。
俺は他人のことがまだ分からないのだから。
あまり、とかいうレベルじゃなく、
全く分からない。
分かりたいとは思うが、分かろうとはしない。
それは相手に失礼だろう?
口にしないってことは、
知って欲しくないってことだ。
それ以上のことを詮索する
その人の人生に土足で踏み入る。
それは本当に正しいのか?
そんなことが正しいとは思えないから
俺はこのまま駄目なままなのだろうか?
だからそれで構わない。俺は
そのまま行ってやろう。
人のことが一切分からないまま、
俺のやりたいように他人にシてやろう。
良い迷惑だろう?
だったら皆しっかり生きてくれ
命を賭けて。
そうすれば俺は暇になって
他人のことを分かろうとするかもしれないから。

でも、自分のことすらも分からない。
分かりたいから、努力している。
まずはスペック。
頭が悪い。体力は無い。腰も悪い。
さあ、どうだ!
俺はどんな奴だ?
分かるはずはない。これだけじゃあ。
でも、今までの人生経験の積み重ねで、
情報は増えた。
今更になってやっと考えることが出来るようになった。
やっと、だ。
分かるだろう?
他人のことを理解するのにも、
それくらいの時間は掛かるんじゃないか?
自分と比較することである程度の輪郭は見えても、
その中身の違いはどうすれば分かる?
そして心を通じ合わせる方法は?
今の俺には分からない。
これは適当に片付けて良い問題じゃないから
適当な答えは出せない。
だから、俺は俺のまま、苦悩している。
このままで、必死になってやろう。

他人のことはその人の言葉でしか分からない。
人は言葉で分かり合うように
進化し、進歩して来たから。
だったらその通りにしようじゃないか。
本心を偽ることなく、口に出そうじゃないか。
それでしか分かり合えないのだから、仕方ない。
それが嫌だというのなら、
全てのことをぶち壊してくれ。
その手伝いが出来るのなら、俺は喜んで
死んでやろう。
ただし、俺の命を費やすのだから
絶対に変えてくれ。
そう確約出来るのなら
俺は何時でも死んでやる。
この先の世界の礎になれるのなら。
誰一人として俺のことを覚えていなくても
構わないから。

これが俺のスタイル。
これが俺の生きる道。
人生の全てを賭けても構わないと思った
初めての理想。

海上で船が沈没し
一枚の板が浮いている。
俺はそれに掴まれば生き残る自信がある。
もう一人の生存者がいる。
ソイツはどう見ても
やがて力尽きてしまうだろう。
普通に考えれば俺がソイツを殺してでも
板に掴まり、生き延びた方が良いだろう。
だから、俺はソイツを板に掴まらせる。
そして、こう言う。
「俺の命を、お前にくれてやる!だから……
 絶対に生き延びろ!」
そして、俺は死んで行く。
それで構わない。
もし、ソイツが死んでしまうとしても、
俺はそうするだろう。
迷うことなど何も無い。
偽善じゃない。ただの自己満足だ。
そういう行き方をしよう。
俺のような駄目な奴が犠牲になるのが
今の世の中のシステムなのだから。

生贄になろう。
犠牲になろう。
礎になろう。
無駄になろう。
それで、上等じゃないか。

自分勝手に、好きなように
文句を言われても、迷惑がられても
そう生きてやろう。
これが俺の
人生だから


inserted by FC2 system