余裕


いつでも余裕を持って行動していたい。
いつでも余裕を持った態度でいたい。
そんなことを思っていた。
本当は、余裕なんて必要なかったということに気付いてしまった。
余裕は確かに必要なものだ。
でも、余裕なだけでは何も生み出すことは出来ない。
本当に必要だったのは、
ギリギリの一線を踏み越える時の、緊張感だった。

プライドを持つことが必要だと思っていた。
それが自分を手に入れる、一番の近道だと。
ある一分野にだけ、ゆずれないプライドを持つ。
それ以外のことでは、泥にまみれて生きる。
実際、俺はしばらくそうやって生きて来たし、
そうすることで多くのものを得て来た。
ただし、表面的なものしか手に入らなかった。

自分の根底を変えるような、衝撃を与えてくれる
緊張感のある刻。
それに出会わなければいけない。

冷静でいられることは良いことだ。
余裕のあることは良いことだ。
でも、だからこそ、
その余裕も冷静も吹き飛ばすような瞬間に出会ってしまった時、
どうして良いのか分からなくなってしまう。
冷静も余裕も無くなった時、初めて
本当の自分が見えるはずだろう?

限定された場所、限定された期間で
どれだけ最良の結果を残すことが出来るか。
そういう実験がしたい。
そして、その経験が役に立つのかどうかを知りたい。
その結果を役に立ててみたい。
本気の瞬間に出会いたい。

余裕なんていらない。
研ぎ澄まされた神経
張り詰めた空気
高鳴る鼓動
加速する意識。
その向こう側に行きたい。
そのために何をどうすれば良いのか、
俺達はとっくの昔に知っているはずだ。
目を逸らさずに、真っ直ぐに見据えてやろう。
余裕を持つのは、辿り付いてからでも遅くはないはず。

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