負けると分かっていても戦わなくてはならない時がある。
不可能だと分かっていてもやり抜かなくてはならない時がある。
それまでに背負ってしまった、全てのもの。
重くのしかかり、逃げる場所を失わせる。
だから戦う。自分を貫き通す。
結果はもう見えている。
でも、逃げるわけにはいかない。
逃げ出すほどの強さは持ち合わせていない。
賢く生きることが強さと同義なら、誰も必要とはしない。
愚かなまでに貫き通す
そんな道が欲しい。

いなくなってしまった人間は
心の中でどんどん美化されてゆく。
「優しかった」「温かかった」「柔らかかった」
本当に、そう思っていたのだろうか?
人間はそれほど心の広い生き物じゃない。
許せるのは、遠くにいる人間だからだ。
距離が近付けば、またごちゃごちゃしたことになるだろう。

口に出してはいけない言葉
残してはいけない言葉
消さなくてはいけない言葉
どこにも届けられない言葉
決して、認めてはならない言葉
最悪な言葉
自分の中に留めておけない、弱さ。
だから誰もが口を開く

様々な人達が歩いて踏み固めた大地のその上で
僕らは生きている
忘れてはいけないのは
僕らもまた、大地を踏み固めているということ
そしてそれは、この先も続いて行く

何もしなかった日々が終わる
また回り始めようと決めた日
久し振りに月を見上げた。
どんな境遇でも大丈夫だろうと
そう言ってくれた人達の声が脳裏を過ぎる
さあ、始めよう
肩を解して、深呼吸をして
ゆっくりと、転がり始めよう

昔は何も恐いことなんてなかった
理由がある
あの頃の俺は、何も持っていなかった
失うものなんてなかったから
死んでしまっても構わなかった
最近になって、恐いものが増えていることに気付いた
失うことが恐い 拒絶されることが恐い
認められないのが恐い 何も出来ないのが恐い
どんどん どんどん弱くなっている気がする
だから、もっと強くなる

努力の全てが報われる訳じゃない
言葉の全てが届く訳じゃない
手に入れるものの全てが黄金な訳じゃない
目に写る全てが素晴らしい訳じゃない
それでも俺は生きている



どうしても欲しいものがあった
たった一つ、それだけがあれば良かった
そんな考えは、ただの依存だと気付いたのは
ずっと後になってから

拾い集めて指先がひび割れた
大事にしまっておいたのに、どこにしまっておいたのか分からない
やっと掌に掴んだものは
ひび割れて粉々になってしまった

涙に良く似た色と
春に良く似た香りと
血に良く似た味

良いことばかりじゃない
悪いことばかりじゃない

笑われるのが恐かった
見失うのが恐かった
そして
手が届かないことが恐くて、泣いた

川辺に座り、空を見る
冗談のように青い空
風は雲のカタチを変え
僕はただ、せせらぎの歌を聴いてる

捨てるのは簡単だろうから
いつまでも持っているだろう
捨てる時が来るときは
最後の刻
胸一杯に吸い込むのは、夜の空気
背中を照らしているのは、月の光
それだけで、良い充分だろう?


無償の愛なんて存在しない
そう言い切れればどんなに楽だろう?
子供のように純粋に 単純に
「好き」という言葉を使えたなら
どんなに僕は楽になれるだろう
僕の隣に、君がいないのは
僕が汚れてしまったからだろう きっと

後悔するのは簡単で
許してもらうのはこんなにも難しい
「試し」でやってはいけないことだと分かってはいた
でも、試さずにはいられなかった
不安だったのかもしれない
君が、本当に僕を好きなのか分からなかったから
答えは、君の涙が物語っていた
僕は後悔で夜も眠れない
鈍い頭痛に耐えながら、何が正しかったのかを考える
きっと、僕が本当に試していたのは
自分自身だったのだろうと思う

本を読んで 音楽を聞いて
いろいろ考えて たくさんのことをして
僕は頭の中身を言葉で埋め尽くす
溢れ出しそうな言葉を文字にして
白い紙を埋め尽くす
真っ白な紙に、価値を付ける

自分の世界も他人の世界もあまり違いはない
美しい世界も醜い世界もあまり違いはない
僕はここに生きているし
ここ以外では生きられない
それがはっきり分かっているから
今日も違う世界を夢見る

夜にしか見えない 月
どんな光よりも純粋に輝く
淡い 朧な 銀月
今日はいつもよりもずっと大きく見えた
僕が夜を好きなのは
月が見えるからなのかもしれない

太陽が沈む時間の
朝日が昇る時間の
夜が止まりそうな時間の
それぞれの気分を
文章にして 残しておきたいと思った
僕の生まれた場所の自然を
育った土地の空気の色を
文章にして 教えたいと思った
でも、残らないものだから綺麗なのかもしれない
そう思ってしまう僕は
失格と言われても仕方ないと思う

でも、僕は今日もこうしてことばを操り続けている。

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