無敵になれる唯一の鍵を、俺は持っている。
ソイツは生まれた時から、胸の中にのみ存在していられる。
しかし、外に出た瞬間に、光よりも速く、
全てを切り裂くナイフに変わる。
他人を切り裂き、愛する人をも切り裂き、
挙げ句の果てに自分をも切り裂く。
結局、俺が無敵になるのに必要なのは
始めから持たされていたものではなく、
自分の力で手に入れたものだけなんだろう。
今の俺の言葉じゃあ足りない。もっと大きくて深い、何か。
心を揺さぶられるメロディーにも似ている。
泪の溢れるストーリーにも似ている。
思考を奪われる一瞬にも似ている。
それは他人が造ったものなのだろう。
何もかもを一人でなんかは賄えない。
哀しいけれど……
だから俺には心がある。
祈り、と言っても良い。
これだけは借り物ではなく、自前のものだ。
俺の心を欲している人が、きっとどこかにいるはずだ。
探しているのは結局、“他の何か”だろう。
思えばいつも探していた。そして、
もがき、苦しみ、涙して、傷ついていった。
他人に見せるにはちょいとハード過ぎる俺の絶望。なんつって、ひたってるかな?
けど、それでも探し物が見つかれば、差し引きゼロになる。
そして、
そこから俺は、始められる。
それまで、どれだけ悔やんでも、傷ついても、苦しんでも、悩んでも、動けなくても、声がかれても、全て失っても、キラワレても、フラれても、捨てられても、
諦めないだろう。
足掻き続けるだろう。
そうして俺は、無敵になれる唯一の鍵を捨て、不完全なまま、完全になれる。