時々、香りで思い出すシーンがある。
それらの全ては、もうセピア色に褪せていて、どこか哀しい。
きっと楽しかったのだろう。
思い出そうとすると、辛いことばかりだったと思っていたのに
ふと浮かぶのは、幸せな思い出。記憶。
俺は自分で思っているより ずっと
幸せな人間なのかもしれない。
友人がいて、大切なものがあって、
下らない哲学を持っていて、
それでも思い出せない。望んでは。
香りによって、初めて導かれる。
例えばそれが音楽でも。
そんなとき、俺は心の奥底で泣いてしまう。
理由なんか無いのだろう。
そういう風に出来ているんだから。
あのフレーズも、香りも
俺にとっては忘れられないのだろう。
大切にしたい。
そう今思っていることも、
未来の俺には懐かしい思い出になっていることを祈る。
そうすれば、また頑張れる。また、進める。
何かが無いと前を向けない弱い俺だから
大切な何かと共に生きて行きたい。
あの香りと共に
inserted by FC2 system