世の中、実は言い張ったもん勝ちだ。
 もちろん、そんなことがあっていいはずはないが、
 事実、そういったことが多々あるのはお分かりでしょう?
 例えば、兎。
 彼(彼女)は、誰がどう見ても獣の類でしょう。
 なのに、単位は“羽”。
 これは、その昔獣を取るなと言われた人が、
 「いや、兎は鳥だから。マジで」
 と言い張ったかららしい。
 他にも幾つか例はありますが、果てしなくなるので止めておきましょう。
 言い張った人が悪いのか、それを認めてしまった世間様が悪いのか、
 判断が難しいところです。
 でも、現代社会にはこんな格言もあります。
 “勝てば官軍”
 要は、言い張ったもん勝ちじゃあない。勝ったもん勝ちなのだ。
 なんだかなぁ。
 じゃあ弱い人のささやかなホントのことはどうなるのか?
 答えは二つ。
 完全に蔑ろにされるのか、強い人に持ち上げられて、大騒ぎになるのか。
 社会というものが、大多数の異なる思想の上に成り立っている以上、
 ささいな衝突は絶対に避けられない。
 後は簡単。多数決の世界。
 大勢の意見を集められた人の勝ち。
 それが、例え表面だけでも。
 んで、また言い張る訳だ。
 「皆さんのお蔭で、私は救われました」
 本心か、口先だけか、
 どっちでも一緒。
 結局、他人を利用しただけ。
 他人も自分を利用しているのを知っているから。
 だから、アレだ。別に悪いって言ってる訳じゃなくて、
 面白いなって話。
 俺も言い張ってみようかな、
 「物質社会は消費の社会、本当に裕福なのは、心が裕福な人」
 心にも無いことを言って、間に受けた人を利用しようかな。
 ……うわ、サイテー。
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