自分を探そう。そう決意したこともあった。
今、その一歩を踏み出している。
もしかしたらその場で足踏みしているだけかもしれない。
だって、先に進んでいるのなら、
こんなにも苦しいはずはないじゃないか?
でも、本当はこうして歩いていることが
一番辛いって事も分かってる。
進んでいるの?
そう問い掛けるのは、自分だから
答えも自分で出すしかないのかな?
あの夜の苦しみ
動けないことに対する苛立ち
犯してしまった罪に対する後悔
でも、それを忘れることはしたくない。
本当は、何よりも全てを忘れてしまいたい。
それから、笑って走り出したい。
でも、全てを忘れて笑顔を取り戻せるまでには
強くはなれない。
自分の弱さを認められない。あまりに弱過ぎて。
ああ、どうしてこんなにも辛いのだろうか?
もう、始まっているはずなのに……
繰り返すのは、疑問だけ。
「これで良いの?」
「本当に?」「本当に良いの?」
頷いてしまえば良い。そして、新しい心で
海でも見に行けば良い。
夕暮れ時に、あの浜辺に。
波の音を耳に焼き付けて
心の色を戻せば良い。
分かっているんだ。でも、
自分の弱さも、強さも、認められない自分がいて
ここにいても何も出来ないんだ。
言い訳を出来る立場じゃないから
愚痴を言える立場じゃないから
溜めるしかない。
出口がないのは、分かっている。
自分で塞いでしまったのだから。
それでも、今は
走っているつもりでいたい。
こうして感じられる風を
嘘だとは思いたくない。
すぐに変われるとは思っていない。
世の中、そこまでヤサシクないのだから。
分かっているから、こうして
少しでももがいていたいんだ。
ここで、こうして。
せめて、この声が誰かに届くのなら……
酒でも持って遊びに来てくれよ。
ジンでもウイスキーでも良いから。
そして、今の自分と昔の自分を肴に
一杯やろうじゃないか。
楽しく、可笑しく、馬鹿らしく。
だから、今はこうして
自分を探している。
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