貴方にはこの声が届くだろうか?
この言葉が、聞こえるだろうか?

僕らはいつもすれ違う。些細なことですれ違う。
言葉と心の間には、途方もない距離があるから。
口から出た言葉と、心の中にある祈りと
その差に僕らはいつも絶望する。

絶望して、言葉を使う。
本当に素晴らしい声を届けようと祈る。

貴方には僕の言葉が届くだろうか?
僕と同じ言葉で、会話が出来るだろうか?


穏やかに持続する怒り
冷たく静かな憤りに
嵐の間隙の静けさに
自ら望んで身を落とす孤独に
砕けて砂になるまで
世界の全てに狂気を向ける


温もりさえもここには届かない
灯りを消した部屋で 僕は
遠い 遥か遠い夏のことを想う
破裂しそうなノイズに塗れて
世界の端から大切な歌が聴こえてきても
ここはあまりにうるさいから 聴こえない


『誰かの掌の上でしか踊ることが出来ない
既に完成された世界にしか生きることが出来ない
繰り返すだけの夢しか見ることが出来ない
虚しさだけは、振り払うことが出来ない

自分の方向性が光なのか闇なのか、時々分からなくなる
誰もがそうだろうと思うし、そうでなくては嘘じゃないかとも思う
実感しているのは、この世界の曖昧さ
確実なものなど何も無い、頼り無い世界

僕らはそこで生きている。

夢を見よう
そして、現実を駆け抜けよう
何度でも繰り返そう
何度でも泥に塗れよう
苦しんで、苦しんで、苦しみ抜いてから
死のう。
それだけのために生きていると言っても過言じゃない。
そんな世界。

僕らはそこで生きている。』


雨上がりの夕暮れ。
深くて淡い色彩の空。
複雑なグラデーションは天に至るまで続き
山裾に触れて、黒くなる。
分厚い雲は途切れ途切れに流れ
その影だけが雨の余韻を残して漂う。
遅れて届いた誕生日プレゼントのような、青空。
少し経つと、夕焼けが訪れる。
朱の色に焼ける雲と、空と、世界。
切り立つ山々だけは、その朱に染まらない。
透明で透き通った光は、山の緑が全て吸い込んでしまうから。
雨上がりの夕暮れは
僕を子供の頃に引き戻す。
いつでも


太陽の光から、白い靄が消えない。
この靄が消えなければ、俺に夏は訪れない。
空の青さが、戻らない。
青さを奪われた空は、いつか俺に復讐するだろう。
怯えている。その日が来ることに、怯えている。
涙に濡れた瞳で 空を見上げて 声も出ない。
その時の感情は、歓喜なのか、それとも
絶望なのだろうか?


『その出会いは宿命のようなもので
 その出会いを避けることは出来なかった
 お互いが傷つくことは分かりきっていたけれど
 僕の気持ちが迷走するのは分かりきっていたけれど
 それでも、僕らの出会いは運命のようなもので
 避けようとすれば、それだけで世界の意味が失われてしまうくらいのもので
 哀しみとか、痛みとか、そういうものは受け入れるしかなくて
 何のしがらみもなく、ただ本当の気持ちを伝えるには
 時間の共有が足りなくて
 だから僕らは歌を歌った 喉が裂けるほどに歌を歌った
 そして、限定された空間と時間に自分の存在を示した
 失われる日々に 自分を刻んだ
 もう二度と出会うことが叶わないなんて
 そんなことを思わないようにして……』


毎日通る坂道。通勤に使っている坂道。
冬が終わる前に、この道を使い始めた。
今、驚くことに、木々は息吹を取り戻している。
狭い坂道を、より一層狭くして
その枝葉で道を隠してしまうくらいの勢いで
彼らは緑の手を伸ばしている。
驚いたのは、今日になるまで
そんなことにも気付かなかった自分。


大好きな歌を歌ったのは
あの頃彼女が歌った曲を聴いたのは
ただの自慰行為でしかない。
同じ失敗をなぞるだけの、悲しい習性でしかない。
ただ、ほんの少しだけ
苦しかったから。それだけ。


雨の中を傘も差さずに歩くのは
誰かが傘を差し出してくれることを
待っているから。


貴方のために涙してくれる人がいる
これ以上の幸せなんて、ちょっとない。


繋がった指先から伝わる
震えるような振動 刺激 衝撃
優しく穏やかな 冷たい情熱
褪めた夢
だから僕らは手を握る。
しっかりと、手を握り合う。


同じ言葉を繰り返し、繰り返し口にする。
まるで、互いの心を繋ぎとめる
呪文のように。
必ず訪れる変化を 終焉を遠ざける
まじないのように。
「好き」だからと、そう繰り返す。


季節を僕に知らせる 音と香り
むせ返るような草いきれが
僕にまた 夏を告げる
降るような蝉時雨が
僕にまた 夏を報せる


飛べない鳥を笑うのか?
飛べない鳥になろうというのか?
飛べない鳥に、それでも飛べと言うのか?
飛べない鳥を、飛ばすために命を賭けることが出来るのか?


真っ直ぐにぶつかれば、当然弾かれる。
簡単に貫くことの出来る壁なんて、どこにもない。
突き貫くことが出来ない壁も、どこにもない。
何度でもぶつかれ。真っ直ぐに。
その目を見開き、大きく息を吸って
二本の足で、そこから飛び出せ。


ユメノカケラ コワレテ カガヤク


やがて訪れる刻に 貴方は
目の前に開ける景色に
震える掌 握り締め
いつか見た夢のような日々のため
それでも恐怖を無視して
天を仰ぎ 声を張り上げる
やがて訪れる変化に キミは
恐怖と共に歓喜する。


途切れることのない歌を唄おう。
永遠の歌を唄おう。
奪われることのない自由を願おう。
永遠の自由を手にしよう。


獰猛な自分。貧弱な自分。
現実の中の一欠けらの愛撫。
連鎖する狂気と、瓦解する狂喜。
破滅と到達の狭間の刹那
死と生の無限。
限定することの叶わぬエクスタシー


希望なんて甘っちょろくてヌルい言葉、
大好きだ!


水と風。それと、一片の雪。


自分の胸に手を当てる。
瞳を閉じて、自分の魂をイメージする。
そして、魂に手を触れる。
手触りを、感じる。今の自分の魂の感触を。
昔の自分を思い出す。
それぞれの自分の魂の感触を、思い出す。
自分の理想とする自分の、その魂の手触りを
創造する。
そうやって、僕は
僕になろうと努力する。


気付いてしまったこと。
あの頃の満たされていた俺だったらきっと
今の俺のような
自分でも制御することの出来ない自我に翻弄されるようなことは
無かっただろう。
それ以前に、そこまで暴走寸前の自我なんて
得られなかっただろう。
数々の反吐が出そうな記憶を乗り越えて得た
この力強い瞳は
手に入れられなかっただろう。
皮肉なモンだ。
俺は、全てを失ったから
満たされないから 虚ろだから
ここまでたどり着くことが出来た。
そして問題なのは
ここがまだ、通過地点だということだ。

耐え切れない孤独を突き貫いて
壊れた夢の欠片を集めて
歩き来た道を振り返らずに
僕は ただ ここから
価値の見付からないまま ここから
飛び出そうと望んでいる。

きっと、それが今の僕に一番必要な勇気。

何だっていい。
とにかく今は
胸を突き上げる衝動に従おう。


陰る月の温かき輝き
照らす日の嘘寒い手触り
薄絹纏う夜に叫ぶ
我、此処に在り と


忘れられない記憶
忘れようとしていた記憶
消せない、毒のような自分
立ち上がることに恐怖を感じ
前を見ることすら放棄して
堕落している現状に
闇色の快楽に身を浸す
夥しい量の血が流れ
渇いた悲鳴が枯れるまで続き
涙で全身が清められない
肌に走った無数の皹は
心の奥では溝となり
湧き出る狂気がこの身を貫き
黒い光に踊り狂う
忘れられないのは仕方ない
消してしまうことなんて出来やしない
隠してしまうには その記憶は強過ぎる
だから 俺達は
この手に闇を抱いて行く


忘れたいことを今 思い出して
忘れられない記憶を今 掘り起こして
血を流す傷口を見ながら
奥歯を必死に噛み締めて
青い空の下、夢を見る。


快楽に堕ち 快楽に昇る
光を浴びて 闇と踊る
瞳を細めて 両手を開く
大きく、強く両手を開く
見開いた瞳に写る世界は
錆色の輝き


背中にあった 白い翼
どこまでも飛べるはずだったのに
猟師に撃たれ 翼は傷ついた。
羽ばたくことは叶わず
白い翼は黒く染まった
あんなにも軽かったのに 今では
こんなにも、重い
僕の足取りを止めようとする
黒い翼
もぎ取ることも出来ず
古い記憶がもたらす快楽だけが
その存在の証
黒い翼は今日も
僕の足取りを止めようとする


簡単な一言
僕らの他の人には意味すら分からないような
簡単な一言
それを言おう
言って、言い合って、笑おう
簡単な一言で
僕ら、幸せになろう

この先で得られる「生の実感」のために
今だけは泥のように生きよう。


もう一度、またやり直したいと思うのは
ただの我侭かな?
全部が全部上手くいくとは思ってないけど
またどこかで似たような失敗をするのは分かっているけど
それでも 僕は
また、やり直してみたいんだ
今度こそ胸を張っていられるように。


もっとこうしていたかったけど
怠惰な快楽に身を浸していたかったけど
ごめんね 僕はまだ
諦め切れないコトがたくさんあるんだ


頭の中が透き通ってゆく感覚
言葉が無限に湧き出る感覚
場面が 台詞が 光が
途切れることなく脳裏に浮かぶ快楽
これがあるから、止められない


月の夢 星の歌
花の声 風の色
時間と日々と毎日の
苦しみと後悔と羨望の
絶望と恐怖と喪失の
その更に向こうに
本当の青さを忘れない空と
束縛された自由に生きる鳥の姿
見えるのは 虚構でも夢幻でもなく
一瞬先の現実
溜め息が出るほどに美しい
リアル


鼓動に乗れ 天を仰げ
足元に咲く花を踏みつけたとしても
花がまた咲くことを信じて
迷わずに進め
刻む鼓動と 稲光の如き衝動
破裂するのは、弱い自分
生まれ出るのは、輝ける自分
全てはここにあり ここには何も無い
抱き締めてくれる柔らかな腕はきっと
闇の向こうで待っているから


アサガオを咲かせるのは朝の光じゃなくて、夜の闇なんだってさ。


自分を抱き締めたい。でも、この両手じゃそれは出来ない。
この両手は自分ではなくて
本当に苦しんでいる誰かを抱き締めるためのものだから。
抱き締めて欲しい。だから僕は
いつも誰かを抱き締める。


ユメノカケラ ヒロッテ アツメテ ソラニトバス
ユメノカケラ キラキラヒカル ツギノユメ ミエタ


何もかもを一人で知ってしまったのなら
何もかもを一人でやらなければならない
それが知ってしまったことに対する責任
自分との、戦い。


忘れたままの方が良かったのか
思い出すことが罪だったのか
忘れることしか出来なかったのか
思い出すことすら忘れてしまったのか


今はまだいらない。
今はまだ、安らぎはいらない。
まだ僕は途中だし、何も見えていない。
何も成し得てはいないし、自分を見つけてもいない。
だからまだ、安らぎなんていらない。
今はまだ、苦しむべきだから。
今はもっと、振り絞るべきだから。
今はまだいらない。
まだ、安らぎの中で足を止めることは出来ない。


自分の体が一回り小さくなったような錯覚。
自分の体が徐々に腐ってゆくような実感。
自分の体が、走り出すことを求めているような
心地良い、予感。


誰だって
自分が今までやってきたことを
認めて欲しくて
褒めて欲しくて
労って欲しくて
だから
「良く頑張ったね、偉いよ」って
一言でも言ってあげたくて
一言でも言って欲しくて
誰かを、探している


その時には、そうすべきだと思ったんだろう?
だったら、後悔なんて幾らでもすればいいさ
その後悔ですら、覚悟の上だったはずだから


過ぎ去り流れる時間の価値を
僕らはもっと見直すべきだ


こんな腐った世界には
神様が必要だと思わないか?
こんな腐った世界じゃあ
神様だって裸足で逃げ出すと思わないか?


生まれつきの才能に頼って生きる人生なんて
運命のおもちゃになってるだけじゃないのか?


百万の言葉で慰め、励ますよりも
俺は黙って貴方を睨み据えよう
視線に祈りと意志をこめて
貴方が立つまで見据えていよう。


愛するものを失った哀しみと
愛するものすら無い哀しみと
愛することを忘れてしまった哀しみ
一体、どれが一番辛いだろうか?
答えは分かりきっている。


大切な心ほど
大切なはずの心ほど
伝わらない
大切な心を伝えるにはやっぱり
僕らは言葉を使うしかない
言葉と、体を使うしかない
それでもやっぱり、心は大切と言えるだろうか?


儚く散って消えるなら
美しく風にさらわれるのなら
その瞬間を焼き付けよう
この目と記憶に刻み込もう


結末が見えていても
でも、僕らは
儚い可能性に希望を乗せて
手を伸ばし続けるしかないんだ
結末が見えている残酷な世界だけど
その結末に至るまでの過程は
誰にも分かりゃしない


「本当の」ことなんて
「本当は」ありゃしねぇのさ
あるのはただ
今、どういうことになっているのか
それだけだ


大事なものは失ってから気付く なんて嘘だ
失う前に、とっくに気付いてて
でもその気持ちに蓋をしているだけだ
決定的に何かが変わることを
恐れているだけだ
でも、逃げ続けていても変化は必ず訪れる
大事な何かを本当に失ってしまう前に
やれることがあるはずだ


言うべき台詞なんて、いつだって分かりきっている
それでもそれを言えないのは
それほど単純じゃないからだ
俺達は、単純じゃいられないからだ


気持ちを真っ直ぐに言葉にすると
嘘にしか聞こえないのはどうしてだろう?


愛しているなんて簡単な言葉で片付けたくないのに
愛しているという言葉しか見付からないから
僕はまた キミの手を握る


永遠があるとするなら
それはこの気持ちの中だけに


空を見上げて涙するなら
笑顔を浮かべていたいから


惜しめるほどの本気なんて持ち合わせていないから
少しでも振り絞れるよう努力したい


不意に訪れた、涙がこぼれそうなほどの
再会。
それと、再開。
今立っている足元に線を引こう
ここをスタートラインにして、駆け出そう
大きく息を吸って。
両手を目一杯に広げて。


単純な俺って奴に一番キくのは
とてもシンプルな一言だ。
それを言ってくれる奴を
俺はきっと、愛してしまう。


死の恐怖を知った。
何も出来ない恐怖を知った。
何処にも辿り着けない絶望を知った。
報われない努力の虚しさを知った。
置き去りにされる哀しさを知った。
裏切られる辛さを知った。
声にならない切なさを知った。
そして今
涙も出ないほどの、歓喜を知った。
だからここから始めよう。
新しい自分に手を伸ばそう。


真っ直ぐ前を見て、バカみたいに走る。
それが正しいとは思えない。
そんなことをしていればいつかは息が切れるし
足元の石につまずいて転ぶことだってある。
でも
そんなバカみたいなことも出来ない内に
上品に生きようなんて思うことの方が
よっぽどバカみたいだ。


夏を待つ理由がある。
僕には、僕だけの
夏を待つ理由がある。
誰に話してもきっと分かってもらえない
ささやかで 穏やかな
夏を待つ理由。
空の青さとか 夕立の後の匂いとか
夜の滑らかな静寂とか 蝉の声とか
向日葵とか 川のせせらぎとか 
思わず笑顔になってしまうような 暑さとか
そんなエッセンスが
僕の理由を確かなものにする。
だから僕は、夏を待っている。
胸を躍らせて、夏を待っている。


冗談みたいに青い空と
焼け付くように暑い陽射しと
微笑みを誘うそよ風に
僕らは両手を大きく広げる
真夏の一日を噛み締める


涙が出るほど嬉しい衝動
闇を切り裂き朝が来るまで
このまま走り続けたい気持ち。
多分、誰だって持ってて、それを忘れているだけだ。


許したいと、そう思っていた。
全てを赦してしまいたいと。
そうすれば、僕はもっと違う形で心を育てることが出来ると。
でも、全てを赦せるようになっていると気付いた今
こんなにも、胸が切ない。
一瞬で感情が沸騰して、涙が溢れて――


傷ついた体と 溢れ出る泪に
浮かぶ一つのキモチ
夜に沈めた小さな旋律が
耳に届く前に
冷たいアスファルトの上で
渇いた空を見上げる
流れる風に身を任せて
スカイブルーの夢を見る


成りたい自分に成れない辛さ
言いたい言葉を言えない苦しさ
思い描いた未来に辿り着けないかもしれない
恐怖
手に触れる手軽な快楽に堕ちて忘れてしまった
本当の気持ち
成りたい自分から遠ざかって行く
錆付いた歯車の音が聴こえる
瞳を閉じてもそこには何も写らず
闇すらも冷たく拒絶する
言いたかったことがもっとあったはずだ
やりたかったことも 成りたかった自分も
もっと、もっとあったはずだ
現実はそれほど甘くないなんて
そんな台詞を吐くアンタの方がよっぽど甘い
恐怖と焦燥と怒りを心に抱いて
足元を踏みつけながら行くのか
穏やかな気持ちの中でたった一つの何かを握り締めて
降り注ぐ雨の中を傘も差さずに歩くのか
この言葉の矛先は決まっていたはずだ
この気持ちの形は、もっと
はっきりしていたはずだ


この坂道を上れば街が全部見えるはず
僕の住む街が、全部
僕の家も 学校も 友達の家も
全部見えるはず
そう思って僕は走る
空は真っ青で、白いもこもこの雲は夕立ちの合図
蝉の声はうるさいくらいに響いて
太陽の光まで、音が聴こえそうに思える
僕は走る 走って走って 坂道を上る
もう少し あと少し そう何度も繰り返し思いながら
意味のないことだって分かっている
もう手遅れだってことも分かってる
でも
子供の僕にはこれしか出来ないから
僕らの住む街から離れるあの子に
何も出来なかったから
さよならの代わりに 僕は
走って 走って 坂道の上から
あの子の乗っている列車に手を振るんだ
走って 走って
この坂道を上って


彼女の大きな瞳に僕が写っているから
僕だけが写っているから
僕は彼女に言うんだ
大好きだよ って。


思った通りのことを言って
思った通りの綺麗なことを言って
向日葵みたいに笑っても
誰も褒めてくれないけど
嘘を吐いて真っ黒な笑顔でいるよりは
僕らしいと思うから
ありのままに 生のままに
なすがままに そのままに
僕は笑いながら言葉を使う


いつだって一番大切なことを
一番優先させることが出来るような
素敵な我侭な自分でいたい
誰も傷つけないで我侭に
自分を偽らないで強引に
いらないコトなんて考える必要ないから
一番を一番に出来る
そんな自分になりたい


窓を開けようか
窓を開けずに、こうして見ていようか
窓ガラス越しに滲む月と
透明な夜の向こうに霞む月と
どっちがいいだろう?
僕は贅沢だから
窓を半分だけ開けて
夜空を見上げた


忘れていたことを思い出そうとするよりも
失くしてしまったものを取り戻そうとするよりも
今しか出来ないことがきっとあるはずだから
今だから楽しめることが絶対あるから
踊りながら 唄いながら
笑っていこうよ


鏡の中に僕がいる
あの日の気持ちを抱いたまま
真っ直ぐな目をしたまま
夢を手にした僕がいる
僕は鏡に手を伸ばす
鏡の中の僕も手を伸ばす
その手は触れ合うけれど
決して握り締めることは出来ない
鏡の中の僕は、酷く哀しそうに見える
僕は今、どんな顔をしているんだろう?


花が咲くから
荒地にも花が咲くから
雑草の中でも花が咲くから
雨が降らなくても 風が強くても
太陽の光が降り注がなくても
花が咲くから
僕らも、大丈夫でしょ?


いつからこうして自分を傷つけることに慣れてしまったのだろう?
他人を傷つけることで、自分を傷つけることに慣れてしまったのだろうか?
どうして自分を大切に出来ないのだろうか?
他人に優しく出来ないのだろうか?
下らない全部を、赦してしまえないのだろうか?
大切なことだけを、守れないのだろうか?
こんな自分にいつまで付き合うんだろうか?
こんな場所を、どうやったら変えることが出来るんだろうか?
腐った自分にさよなら出来るのだろうか?


軽く触れただけの掌から
ゆっくりと 確かに
はっきりと 穏やかに
染み渡ってくる
温もりと 柔らかさ
暖かさと 優しさ
安らぎと 旋律
軽く触れるだけでこんなにも幸せなら
もっと、ずっと、触れ合っていたい
これって、不純なキモチですか?


降り注ぐ雨に溜め息を吐くよりも
雨粒のメロディに微笑むような
そんな気持ちを大切にしたい


流れ過ぎ行く時間に焦るよりも
積み重なる一瞬を抱き締めるような
そんな生き方をしてみたい


腹一杯になるくらい悩んだし、後悔もした。
その度に吐き気がするくらい苦しんで
涙を流して叫びを上げた。
だから、もういいじゃないか。
今までのことは、もういいよ。
これからも多分そうやって
悩んで苦しんで涙することもあるだろうけど
今はもう
充分なはずだから。


傘で弾ける雨粒に手を伸ばすような
ただそれだけの
優しさが欲しい


知らず知らずの内に
流れが目の前を過ぎて行ってしまったような
取り返しのつかないことをしてしまったような
震えの来る、後悔。
埋もれてしまうのはいつでも簡単だから
流れに乗れなかったとしても
じっと目を凝らしているしかない


いつだって僕らの夢は終わらない物語。
道は幾多に別れ、交差し、合流し、また別れる。
それぞれの道を歩くんだ。僕らは。
その旅路が愚かで滑稽なものになるとしても
夢見ることを忘れるよりも、ずっと良い。
さあ、立ち上がり走り出そう。
この空の下に。


雨の中を、傘も差さずに歩く。
気が付けば僕は
大切な人達が差す傘の下にいた。
嬉しくて、楽しくて 僕は
久し振りに大声を上げて笑った。
雨なんて、大好きになってしまった。


自然と歌を口ずさんでいるような
そんな 羽毛のように軽い心
久し振りに 本当の自分を見れた気がした
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