トップの一言 日記からの抜粋

細くて白いてのひらで
僕らは何をうけとめよう

変われない自分を嘆くより
変わらない自分を愛せるような
そんなしたたかさが欲しい

自分を愛することが出来たら
他の全てをも愛せるはずだから

このてのひらでうけとめよう
頼りないてでうけとめよう
降り注ぐ全てをうけとめよう
傷を赦して受け入れて
辛かった日々を憐れもう
きっと本当のやさしさは
そこから生まれてくる

言葉に出来ない気持ちだから
涙に変えて 貴方に贈る

この距離を 大事にしよう
僕とキミとが出会った距離を
温もりも 気持ちも伝わらない距離だけど
キミの顔ははっきりと見えるよ
キミの声もはっきりと聴こえるよ
だから この距離でいよう
いつか僕が もしくはキミが
この距離を 縮めたいと願うその日までは。

一つになることのなかった 二つのシルエット
一つに重ねて壊れた 二つの夢
二つになるしかなかった 一つの道
僕が壊したのは
二つになって安定していた 僕、そのもの

孤独を愛するくらいなら
いっそ穴でも掘って埋まってろ
それも出来ないくらい情けない自分なんて
ぶっ壊して 作り直せば良い

言うのはいつも簡単で
文章に残すのはもっと簡単で
漫然と続けるだけなら更に簡単で
留まることならずっと簡単

日々を彩る全てのパーツに
負けることのない笑顔を飾ろう

灰色の毛布に包まれたような
柔らかな日差しに身を委ねたような
そんな
懐かしい気持ちに
切なさではなくて 嬉しさを感じるような
笑顔の浮かぶ そんな夜に


偽りの無い気持ちを偽って
物語が生まれるのなら
僕は胸を張って嘘を吐こう
この嘘が眩い光を放つまで

手にしたものが儚く崩れるこの日々に
それでも僕らは手を伸ばす
失われた輝きを追うのではなく
輝き続けるために

諦めようとするのなら
初めから何もしない
そこにあるのは 決意
決意という名の覚悟
それらと等しい
命そのものの価値


音の無い世界と
桜色の夜

古びた歌が唄う愛に
青い春に浸った気持ちに
取り戻せない日々に
言えなかった言葉
言って後悔した言葉
さあ、全てを思い出そう
傷口は血を流して 僕は苦しみに身を震わせるけれど
思い出そう
だって
それですら、一つの物語なんだから

キミが笑顔を見せるから
僕はそっと手を伸ばす
キミが涙を見せるから
僕はそっと手を伸ばす
僕の指に絡む キミの指
その指で 僕を包んでおくれ


こうして 今までやってきたけれど
もっと 違う方法があったかもしれない
僕らはもっと 手を伸ばせたかもしれない
違う道を歩けたかもしれない
でも
後悔なんて ない
僕らは多分 もう一度人生を繰り返したとしても
同じ風に進んで そして
こうして 大声で笑うだろう

酒を飲みながら 好きなものを食いながら
下らない話と 退屈な毎日の話題で
大声で 笑うんだ

腐った世の中で ただ これだけが
輝ける日々

黒い月光 白い陽光
青い夜 藤色の朝
透明な僕の影と
色を失う貴方の姿

嘘だったと気付いた絶望
偽りだと見抜けなかった絶望
浮かれた自分に対する絶望と
虚偽にまみれた世界への絶望
それと ほんの一片の
殺意

鈍い頭痛が甦り
一度は捨てた悪意が戻る
忘れたはずの狂気も戻り
いつしかこの手は
血に染まる

胸に開いた大きな穴は
たくさんの言葉と 目的を生み出してくれた
今 その穴を 風が通り抜けて……
たくさんのものが 奪われてしまった
待っているんだ また
ここから全てが溢れ出すのを
足掻いているんだ いつか
この先に進めるように

駆け出した夜霧舞う街に
求めた答えがなかったとしても
黒いレザーのブーツとコートで
風を切って 歩き続けるだろう
ネオンさえ消えた路地に
乾いた涙を落としても
不意に明けた夜に
心の全てを灼かれても
血を吐く思いで上げた叫びが
虚しく壁に吸い込まれても
鋭い瞳を取り戻せるのは
この街の他に どこにも無いから


夢を見ていたかった
ずっと 醒めない夢の中で歌い続けていたかった
誰のものでもない 僕だけの歌
誰に向けるでもない キミだけに向ける
そんな 愛の歌を
目を醒ましてしまった僕は これから
錆び付き軋みを上げる現実の中で
キミを探すことから また
始めよう
溶かされるほど眩い朝日に
目を背けないようにして……

開放感と達成感に、もう少しだけ浸っていよう
そして僕はまた始める
何もない 真っ白な紙に
少しずつ、文字を刻んでゆく


真綿のような雪の上を舞う
小さな光
窓ガラスの曇りを手で拭いて
子供のようにじっと見詰める
自然とこぼれる歌声は
いつか唄ってくれたあの歌


このままではいられないのに
いつまでもこのままでいたくないのに
どうして俺は
同じことを繰り返してしまうのだろう?

ここから先を見ようとしているのに
もっと もっと 欲しいのに
どうして俺は
ここで満足しようとしているのだろう?

積み重ねたものが崩れるのが怖いなら
必死に積み重ねたものを壊されるのが嫌なのなら
自分で毀して そしてもう一度
誰も壊せないくらい強固に
積み直せば良い
それが今の俺に足りないこと

砕けた日々が奏でる旋律は
指の先から伝い落ちる血にも似て
僕は この夜に 瞳閉じる

彼がその言葉を言う
「そのままでいい」
僕はそれにこう返す
「このままで良いなら、とっくに死んでる」
彼が言う 懐かしい、あの声で
「そのままで、良いんだ」
僕は拳を握り締めて立つ
このままで、ここで満足して足を止めてしまうなんて……
ここからは、何も見えないのに。
ここには、何も無いのに。
「このままで良い訳あるかよ!」
自分に向けて叫ぶ
叫びは響き、いつか消えるだろう
だから僕は、何度も叫ぶんだ。
この声が、途切れてしまわないように。


束の間の 何の保障もない
そんな安心
でも 夢見てうなされるようなことがなくなるなら
それでも構わない

何もかもをなくせるのならそれが良い
消してしまえるのなら、それも良い
ただ
忘れてしまえないことは
貴女を愛していた気持ち

鈍い頭痛に涙して
乾いた涙を流す夜
隣に貴女を求めてしまう僕は
本当の愛を分かっているのだろうか?

真昼の光を浴びたなら
きっと僕は一人を望む
それを見抜いていたから
キミは僕から離れたんだろう?
僕をこの夜に留めておくために……

そして 終わらない夜の中で 僕は また
涙を流し跪き 貴女の面影に震える
そう この記憶が消えるまで

太陽が終わる一日を飾る 夕焼け
夜の天幕がゆっくりと下りる 夕暮れ
そんな一瞬ごとに色合いを変える世界の中で
一際輝く一瞬がある
山間が藤色に 空が深い青に染まる
夕と夜の狭間
目を細めて 涙を堪える

世の中の全てを味方につけるアンタと
世の中の全てを敵に回す俺
どっちが優れているかなんて
そんなこと 競うつもりもねぇ
ただ俺は
俺以外の何かになるのを認めたくないだけ

終わり間際のこの日々に
貴方は何を望むのですか?
そして私は
貴方に何を与えられるのですか?
答えが出せないのならば
この日々は終わらないのですか?

冷たい風が一陣 吹き抜けて
僕らの繋がりが震える
声は掻き消えて 手は凍える
吐く息だけは 白く 真白く
音もなく 天を目指す
吹きすさぶ風は
そんな僕らの吐息すら
さらってしまった

笑えるような出来事に
涙も出ない


「大好き」だからと呟いて
貴女はそっと手を伸ばす
銀の刃に添えた手を
躊躇うことなく振り下ろす

命を賭けて生きている僕らに
ほんの少しの祝福を

もしも神様がいるとしたら
他のどんな存在よりも放任主義だと思う。
高い場所から僕らを見下ろして
手出し一つしない。
それは、舞台を見に来た客とどう違うのだろう?
一番後ろの客席に座って、ただじっと演目を見詰める神様。
貴方は、ひょっとして何も考えてないのですか?

それとも、あまりに僕らの演技が拙いから
口出しする気も失せてしまったのですか?

息を切らせて 駆け上がってきた
街を見下ろせる この坂道
風が駆け上がり 天へと帰るこの道を
あと一歩で 上り切れる
ほら もう すぐそこに……
新しい景色が 広がっているから

一片だけ舞う白い破片に
僕の瞳は奪われる
地に落ちても姿を変えて
彼はいつまでも存在を止めない
自分であることを止めない
変わってしまっても 奪われてしまっても
自分であることを 迷わない

透明な光が照らすこの夜に
僕らは静かにビートを刻む

キミに見せたい景色も
キミに聴かせたい唄も
今は過ぎ去って 遠い昔の出来事
今の僕は たった一人で
夢の中 キミを望む

過ぎ去った日々を懐かしんで
一粒こぼれた熱い泪に
貴女の指が触れるなら
これから 僕は
迷うことなんて 二度とない

例え貴女がここにいなくても
例え僕がずっと一人でも

胸の奥底 記憶の中核
そこに深く刻まれた キミの名前
それは僕と正反対で でも繋がっているような……
僕を導いてくれるような 温めてくれるような……
そんな キミの名前
思い出して切なくなるけど
いつも泣いてしまいそうになるけど
それよりもずっと
元気が出るんだ。
だから僕は忘れないよ
キミを、忘れないよ。

一人寂しく更けてゆく夜を
貴女が照らしてくれるから
一人寂しく眺める夜を
貴方が照らしてくれるなら
僕はもう
傷付くことなんて 怖くない


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