トップの一言 日記からの抜粋

新しいことがしたいから
誰も知らない僕になる

薄く引き伸ばしたような雲と
少し寝惚けているような青空
湿った風の匂いと
視線を上げると雲は白く
視線を下げれば淡い紫の縁取り
なだらかに延びる山裾は
その輪郭を曖昧にしている
誰かと誰かが遠くで話している
声はとても優しく空気を震わせている
忙しなく囀る鳥の声は
やがて訪れる夜の前触れなのだろう

雨上がりの夕暮れは
いつだって 驚くほど
鮮やかじゃないか

どんな短いセンテンスでも
止まらなければそれは
『終わらない詩』

一歩を踏み出す勇気がいつもなくて
何気なく踏み出しただけの一歩じゃ足りなくて
意気込んで踏み出した一歩じゃ踏み越えてしまって
だから
肩の力を抜いて 良く考えて 見極めて
丁度良い一歩を これから

歩いてみる。歩いてみた。
そして、歩いてきた。
足の裏で地面を踏みつけて、足跡を残して。
残した足跡は、振り返っても見つからないけど。
風はいつも、足跡をさらうけど。

ちひさな ちひさな手の平に
ちひさな 月の陰堕ちて

僕は寒くて とても寒くて……
ポケットに入れた手を 出すことが出来なかった
キミは手を差し出してくれたのに
キミは涙を流していたのに

「待った?」
「いや、大した時間じゃないよ」
僕が今まで無駄にしてきた時間に比べれば。
僕がこれから無駄に過ごすであろう時間に比べれば。

月が眩しい夜くらい
好き放題に躍らせろ

色濃い月の光が降り注ぐ夜と
あの頃聴いていた曲
それと、キミの名前の思い出
他に 僕に必要なものなんてない

出来るときに出来ることをするんだ
無理をしてもどうせ上手くはいかない
出来ないときは、他のことをする
焦らず行こう ゆっくりと
分からないまま始めたりしないで
やってれば分かるなんて時期はもう過ぎたのだから
欲しいのは 今の自分の全てを出し切る瞬間
だから、分かってから始めればいい
焦らず行こう ゆっくりと
一歩一歩を確かめるようにして

真冬の月は他のどの季節よりもクリアで
他のどの季節よりも 遠い

真冬の寒さが教えてくれる
真昼の日差しの温かさ

夜の中でこそ輝く光
人の手で作り上げられた光
それはあたかも 人の夢で創られた
この世界そのものにも似て……

生きてく理由を決め付けるなんて
勿体無くて出来やしない

毎日、新しいことがある。
毎日、知らない自分が見れる。
毎日、新しい言葉が生まれる。
毎日、笑える。

愛想笑いを浮かべる。
昔はそんな自分に吐き気がした。
今は、ちょっと違う。
愛想笑いを浮かべて
「なんだ、まだ笑えるじゃん」と思う。
グズグズでも、笑えりゃ平気じゃね?

朝の光は 金色
輪郭すら朧な 目覚めたばかりの街並みに
染み入るような 金の光
僕らの影ですら 白く染まる

真っ直ぐ向き合うのが
こんなにも辛いなんて
知らなかった
真っ直ぐ向き合う辛さの先に
こんな穏やかな気持ちがあるなんて
知らなかった 知ろうとしなかった
知ってしまった今 これから
僕は、どうするんだろう?

我を通して、誰も傷つけず
全てを受け入れて、自分を保ち
許せないものを許すだけじゃなく
どうして許せないのかを理解させられるような
そんな人間に
僕はなりたい

死にたいときに死ねないのに
死にたくもないときに
死ねるもんか

訳の分からない模様や
意味のない線で
乱雑に塗りたくられた
子供の落書き帳
でもきっとその中には
今の僕らが思いつかないようなことが
力いっぱい描かれている

降り始めた雪が積もるまでの間
短い、本当に短い時間
舞う雪の一片を見詰め続けながら
私はここで 貴方を待つ

夜空に浮かんでいる月が
細く研ぎ澄まされるまで

本当の自分なんて、作り上げるものだと貴方は言う
僕は言う
自分に「本当」も「嘘」もない
自分は、触れ合った人を通してしか知ることは出来ない
「本当は」も「嘘だけど」もない
作り上げた自分は、誰かの中に

変わらないことが難しいと貴方は言う
変わらないことに意味はないと僕は言う
変えてはいけないことと、
変えなくてはいけないことと
僕らはいつも考え続けている

続けることが難しいけど
惰性で続けることは簡単で、無意味
続けていれば自分は変わり続けるし
積み重ねた時間は無意味じゃない

子供の頃の記憶にすがって生きるのは
とても優しい生き方だと思う
子供だった自分を見失わずにいる
子供だった自分を赦せる
子供だった自分に感謝出来る
たった一つの生き方だと思う
僕らは子供のまんまじゃいられないけど
子供だったことを忘れてはいけない

腹を立てるのはいい
でも、それを外に出してはいけない
怒るなら、自分の中だけで怒るようにしよう
周りに迷惑をかけてはいけませんと
子供の頃に言われたでしょ?

真っ直ぐに押されたらどうしよう
貴方は避ければ良いと言う
傷つくこともないし、避け続ければ相手もいずれ考えるだろう、と
僕は向けられた悪意すら、受け止められるようになりたい
どうしてその意志が向けられたのか、考えたい
それをどうやればヤサシサに変えられるのか、考えたい
貴方にとってそれは意味を成さない、時間の無駄なのかもしれないけれど
僕にとって、それが唯一ひとりじゃなくなる方法だから

寂しがりやの僕が誰かと触れ合うには
同情してもらうか、憎んでもらうしかないと思っていた
でも今は
笑顔を向けられるようになりたい
どうすれば、そうなれるだろう?
そればかり考えている

初めての記憶を思い出そうとしても
それは途切れ途切れにしか思い浮かばない
あの時の僕は、まだ途切れ途切れだった
今になってやっと、自分の中の連続性に気づき始めた
連鎖する意志と、連鎖する事態
その中にいて僕は
それでもまだ、たくさんのことを忘れてゆく
哀しいけれど

言葉を上手に使うより
言葉を真っ直ぐに伝えられるように
言葉に頼らないように
言葉を過信しないように

人は信用しちゃいけない でも、人は信頼しなくちゃいけない
貴方はそう言った
僕はそれがとてもヤサシイと思った
でも、僕は人をただ「信じよう」と思う
まだまだ捨てたモンじゃないと思い続けていこうと思う
そういうささやかな意志を積み重ねれば
いつか素晴らしいものに辿り着けるかもしれない
辿り着けないかもしれない
でも
少しずつ 僕らは変わる

伸ばした手の先に ほら 銀の月
朱の色に染まる空に
金に輝く三日月を
だから今こそ
ボクを呼んで欲しい
一緒にいたあの頃に
キミが呼んだ
ボクの名前を
不変の代価はきっと無価値

夜の中にいて、優しく輝く月を見上げる。
哀しさに涙するのも、その姿に笑顔を浮かべるのも
それほど差はないと思うのです。
重要なのは、「気持ちを動かされた」ことだと。
問題は、そのどっちが自分に当てはまるかということ。
そんなものは、そのときの気分次第なのですが
今は哀しくても笑えるような、そんな自分になりたいと思っているのです。
「クソッタレだけど、まあ、月があるしいっか」みたいな。
身を委ねるとか、流れに逆らわないとか、そういうのは出来そうもないですが
身に降りかかる禍福と真っ直ぐに向き合い、受け止め、受け入れ
それを租借して血肉に変えてゆくことは出来ると思うのです。
もちろん、誰にでも。
だから、夜空に月がなかったとしても
まあ、いいのです。
いつか月が見えることもあるのですから。

首が痛くなるほどに見上げた
移ろう色を眺めて ただ
眺めて……

くじけそうで、立ち上がれそうもない時にこそ
そんな自分を笑ってしまえれば。

英雄に憬れるだけで満足出来るほど
物分りが良い訳でもなく
英雄のように振舞おうとするほど
向こう見ずでもない
英雄になろうと思えるほど
傲慢にはなれず
英雄を 彼を嘘にしてしまえるほどには
僕は 強くない

僕らは忘れていく。
たくさんのことを忘れていく。
嫌なことも、大事だったことも。
だから僕らは頼りない手付きで、
それでもたくさんのものをかき集める。
過ぎ去った記憶の中にある何かに
良く似たものを探すようにして。

キミの顔を忘れてゆく
キミの声を忘れてゆく
キミの仕草を 癖を 指先の撫でた痕を
口癖も 笑顔も 泣き顔も 涙も
二人で見た映画の筋書きも
二人で笑った場面も
キミの唄った歌も キミに聴かせた歌も
僕は、たくさんのものを忘れてゆく

キミを忘れてゆく
僕の中から一つの想い出が消えてゆく
僕はそれすらも忘れて日々を過ごす
振り返れば 足跡は朧
振り返れば 影は虚ろ
僕は忘れてゆく
あの日望んだ自分自身の姿すら
忘れてゆく

忘れてゆく 忘れてゆく 忘れてゆく
忘れてゆく 忘れてゆく 忘れてゆく
忘れてゆく 忘れてゆく 忘れてゆく
忘れてゆく 忘れてゆく 忘れてゆく
忘れてゆく 忘れてゆく 忘れてゆく

あらゆる出来事を忘れて
何故ここに立っているのかすら忘れて
それでも僕は
ここに立っている

ここで、キミを待っている

もうどこにも行かない
自分がいる場所以外どこにも
借り物の居場所には行かない
居るべき場所はいつでも
「どこか」ではなく「ここ」

誰かが待っていてくれるほど
世界は優しくない
待っているだけで訪れてくれるような
そんな都合の良い人はいらない

僕らはここにしっかり立って
その日をたぐりよせる

夜明けは透明だけれど
その中でも人は黒い感情と戦う

世界はとても美しいけれど
人はその世界には含まれない

逆境なんて自分を育てるためだけにある
追い詰められるってことは
もうひとつ育つべき時が来たってことだ。

今は辛くてもいつかどうにかなるなんて甘い
でもいつかはその辛さにすら慣れることは出来る

いつかこの紛い物の人生が終わって
何もかもを
本当のことを思い出したとしたら
この短い一生を振り返って どう思うのだろう?

泣きながら生まれてきたから
最後は笑って終わりにしたいでしょ?

毎日が過ぎていって……
なんとなく僕はまた、疎外感を感じている。
目覚めてすぐに疑問符が頭に浮かぶ。
内容は分からない。
どこにいても、何をしていても、歯車が軋みを立てている。
鈍い頭痛が思考を妨げる。
「考えなくていいんだよ。ここにいれば」
そんなことを訴える、頭の痛み。
何かを深く考えようとする度に、邪魔をする。
青く澄み渡った空に、白い雲が流れる。
僕はその光景を見上げて、どんな顔をすればいいのだろう?
素直に笑えればいい。笑えるならそれがいい。
でもいつか僕は気付く。
この素晴らしく美しい空は
僕らのために用意されている訳じゃないってことに。
この空は、この世界は
ただ、意味も理由もなく存在しているってことに。
だからこそ美しいし、だからこそ価値がある。
だったら僕には意味も理由も価値もあるのだろうか?
適当な言葉を当てはめて、それらしい固定観念を押し付けてしまえばいい。
背に負う、大鴉の刻印のように。
消えることない呪いのように。
そしてそこで思考を停止してしまえばいい。
考えればまた、頭痛が襲う。
だから僕はまた
吐き気を堪えながらも、考え続ける。
自分に問い続ける。
「足りないものは、何だ?」
それは今まで一度も手にしたことのないもの。
誰かに与えてはもらえないもの。
自分で得ることが出来るのかどうかすら定かではないもの。
変わらなければとても得られそうにないもの。
かたちのないなにか。
そうだ、僕は変わろうとしている。
変わってきている。
でも、僕を取り巻く世界は僕の変化を認めてはくれない。
「今までさんざ好き勝手やってきたじゃねぇか」
そんな嘲りの声が聴こえる。
誰もが僕を嘲笑う。
誰もが僕を指差して、笑う。
目を覆い、耳を塞ぎ、体を縮めて
真冬の風に吹かれながら、僕は耐える。
頭上を照らす真昼の日差しすら
今では、僕を凍てつかせる。

思考停止に陥ること
出来合いの思考パターンに当てはめること
クールを気取って分かったようなクチを効くこと
自分以外の全てをバカだと決め付けること
それら全てが
僕の敵だ

それでも結局、僕は書くしかない。
「これと決めたからには」とか
「あの日の誓いを嘘にしたくないから」とか
そんなことは関係ない。
「これしかないから」とか
「これがやりたいから」とか
それほど格好良くもない。
僕はただ、書かないと赦せないだけ。
そう、僕は怒っている。
何よりも、自分自身の存在に。
苛立たしい出来事は全て僕の責任。
それを変えられないことがまた苛立ちを生む。
他人を赦そうとすればするほどに
自分の情けなさに反吐も出なくなり
立とうとして両手をついても
体が重くて支えられない。

きっと誰もがこんな日々を繰り返して
そしていつか辿り着く場所を夢見ているのだろう。
もしくは、完全に全てがすっきりする日を。
でも、そんな日なんて来やしない。
僕らに逃げ場なんてない。
最後なんて訪れない。
死なんて通過儀礼でしかない。
僕らの世代が死に絶え、忘れられた後も
僕らの足跡で踏み締められた大地を
次の世代は歩く。
今の世界が下らないというのなら
それは一体誰が夢見た世界なのだろう?
一体、どの世代が望んだ世界なのだろうか?
僕らは受け継ぎ、そして受け渡す。
この世界が下らないというのなら
「人」という存在が一番下らない。
もしくは、これが一番惹かれる考えなのだが――
僕がこの世界で最も下らない。

僕は愚か者で、でも何も考えてない訳じゃなくて
ひとつだけの望みがあるから、なんとか立つことが出来て
苦しんで、頭を痛めて、胃に穴を開けて
それでも強引に笑っているのに
僕を愚か者だと扱う連中がいる。
いいだろう。受け入れよう。
それがアンタらから見える僕の姿なんだろう。
でも結局、それは一面的な要素でしかない。
そして、一面的な要素で見れば
アンタらみんな俺に殺されても文句言えねぇんだよ!
……そういう点では、誰もが平等だと思っている。

こんな僕でも、この程度のことは考え続けているし
この程度の激情や悪意や殺意や狂気を持っている。
ちょっと腹が立った程度の若い連中を家までツケてって火つける程度の怒りは持つ。
だから、僕は人が怖い。
僕でさえこうなんだ。
どんな人だって……誰かを確実に殺すことは出来るんだ。

常識なんて下らないシガラミのせいで、それが制御されているだけで。
「理性」なんてきっと、体の外側にしか存在しやしないんだ。
法律とかがあるから、誰もがそれをためらう。
常識やルールやマナーやら法やらなんやらは
結局、自分ではどうしようもないもの。
この世界でも、そんな「どうしようもないもの」がある。
確かにある。
人を殺せば罪に問われる。
ならばどうだろう?
僕らがその狂気を内側で押さえ込むことによって
僕らは「彼ら」を守っているとは言えないだろうか?

どうして誰も考えないんだろう?
どうして目を逸らすのだろう?
どうして真っ直ぐ向き合ってくれないのだろう?
どうして真っ直ぐ立とうとしないのだろう?
どうして変わろうと、変えていこうとしない?
何で祈らない? この中途半端なだけの世界で
何で願わない? いつかこの道が終わることを
何で叫ばない? 「それはおかしいことだ」と

その叫びを耳にして、どうして「確かにおかしいことだ」と考えられないのか?

叫ぶからには、叫ばずにいられなかっただけの理由があるはずなのに。
どうして、それを考えられない。
その脳はただの飾りか?
神経の変わりに蜘蛛の巣はってんのか?
何が「クールでいいだろ?」だ。
要するに「これがカッコイイですよ」ってのに当てはめられてるだけじゃねぇか
それは確かにカッコイイかもしれんが、それをそのまま真似してる
アンタは決してカッコイイはずねぇ。
死ね。
「意味わかんねぇ」とか「訳わかんねぇ」とか言ってもいいから
ちゃんと頭使って考えてみろ。
少しはマシな言葉でコミュニケーションしてみろ。
誰彼構わず喧嘩売って、相手が引けば「俺TUEEEEEEE」だぁ?
アホか。
手前ぇはその喧嘩売った相手に守られてんだよ。
つーか喧嘩売ってる時点でもう負けてんだ。
実際殴り合いになりゃあな、手前ぇらみてぇガキなんざアスファルトで顔面整形してやんぞ。
体中の関節外して骨一本一本砕いてやんぞ。
頚動脈一本だけ切って、ゆっくり血が流れてくの眺めてるぞ。
泣いて詫びるんだったらな、最初から喧嘩なんか売って来んな!
どうしてそうなる前に「こうやったらこうなるな」って想像出来んのだ。
マジで少しは頭使って下さいよ……

僕は自分が間違っているのも知っているし
他にもっと正しくて賢い方法があるのも知っている。
けど、僕がこうやって生きているのは
「その方が楽しそうだから」そうしているだけ。
楽しいかもしれないから、こっちを行くだけ。
確実に楽しいと分かってるなら、他の人がやればいい。
僕はなんとなくぼやけている景色の方が好きなんだ。
正しいとか賢いとかじゃない。
好き嫌いの問題なんだ。
楽しめなければ、正しくてもそこに意味を見出せないだけなんだ。
かしこい って さかしい と同じ字なんだよね。
小賢しいわ。
そんな「これが正しいから」なんて言い訳がなきゃ何も出来ねえ連中が
俺を見下してくれるな。
俺は何の言い訳も理由も必要とせず
ただ好きなことをやってるだけなんだ。
ただ楽しもうとしてるだけなんだ。
俺にしてみりゃあな
「正しい」だけのアンタらが、中身の抜けた卵にしか見えねぇんだよ!

ちょっとコケりゃあ割れっちまう癖に、ふざけたこと抜かすなってんだ。

倒れても転ばされても怪我しても
それでも立ち上がれるのが「強さ」だってんなら
確かに俺は「強い」んだろう。
でも、転ばないことや無傷でいることが「強さ」だってんなら
俺はハナっから失格だ。
生まれた時点でもう、一度転んでんだから。

あーあ……クソッタレだよマジで……
なんで一日の終わりにこんなクソ下らねぇこと書かなきゃなんだか……
こんなふざけた世の中、誰か変えてみません?


そうやって
いつまでも自分と 自分に類するもの以外を
見下して
愚かだと見下して
物事の本質を見抜けているような振りをして
いつまでも いつまでも
奇麗事だけで生きていけばいいさ

こんな日にこそ雪が降ればいいと思う
こんな日には、雪が降って欲しいと思った

全てを真白に覆い隠して
音も匂いも風すらも隠して
誤魔化して
せめて一時だけでも
止めて欲しいと思った

何もかもを止めて 消して
諦めさせて欲しいと思った

これは僕の意志なのか?
これは誰の意志なんだ?
これは運命なのか?
これが、贖罪なのか?

出来ることをやろう
せめて出来ることだけは
そして「出来ること」に振り回されて
いつか貴方は灰になる
灰しか残らなくなる

自分の表を偽って
自分の表情を飾って
本心を言わず 奇麗事だけ取り繕って
何も語らず 結論を言わず 判断を委ね
上に立ち 支配者を気取り
それが理想だと目を瞑り
自分で考えず 押し付けられたスタイルにハマり
それが「カッコイイ」と妄信し
新しいものを追わず
新しいものを探さず
新しい言葉を創らず
何も生まず

それが「現代」だというのなら
誰がそんなものを望んだ?
望んだ者こそが、愚か者にしか思えないというのに。

空虚な気持ちに襲われるように
自分を奮い立たせ
力ない両腕で体を支えようとしているのに
世界は何も望まず 変わらず 願わず

誰もが変わること知らず
望むことも、願うこともないというのなら
もう全て終わってしまえばいい
みんな死ねばいい

だから僕は怒っている
漫然と惰性で生きているだけの物体に
見下して諦めて「知らない」とか「関係ない」とか言うのは簡単だ
そんな台詞は好きじゃない
だから僕は怒る
その物体が、いつか「人間」になれるように
僕は怒る
この怒りだけが多分
空虚な僕の人生で唯一本当のものだから

たくさんの人を傷つけて
たくさんの人を裏切って
失望させて 迷惑をかけて 悲しませて
それでも僕は 立っている



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