トップの一言 日記からの抜粋

虚ろなこの胸の内を満たすのは
汚れた記憶に塗り潰された闇なのか
それとも希望を示す光なのか
それとも
虚ろなまま、僕は行くのか

生温い 錆びた鉄粉の中に
ゆっくりと足を沈めるような
腐ってゆくのを実感している
この日々

夢に見るほどに好きだった夢を
夢のままで終わらせたくなかったから
夢の中で夢を追いかけるようにして
夢を見る

終わらない夢は 悪夢とは限らない

絶望と向かい合うことで知ったことがあった
諦めて初めて分かったことがあった
逃げ出してやっと気付いたことがあった
ひとりになって ひとりじゃないと感じた

空の青さのその訳すらも 僕らは
他人任せにしたままなんだろう きっと

夜空にあると思っていたものは
真昼の日差しの中にあったんだ

握り拳をゆっくり開く
開いた掌の上には
何を載せることが出来るかな?

寂しさを 充実感にして
哀しさを 喜びにして
無力感を モチベーションにして

肌を刺すような寒風が
通り過ぎて 通り抜けて
やがて真夏を運ぶまで

高まる鼓動を抑えずに
昂ぶる気持ちをそのままに

今日を終わりに出来るなら
明日を始めに出来るなら
落ちた桜の花弁が
朽ちて大地と溶けるまで

今日という日が終わる頃
明日という日はまだ来ない

諦められなかった気持ちを
諦める必要なんてないのだと
どうしても止まらない欲求に
逆らうことなどないのだと
流れ出す涙を
拭うことすら忘れて
声を張り上げるのは
恥ずべきことではないのだと

僕らの生んだ言葉は多分、どこにも行かない
響いて、揺らして、消える
だから言葉は優しいのだと思った
ちゃんと、消えるのだから

消えたとしてもそれは、無為に消える訳じゃない
僕らをちゃんと、震えさせる
その震えは
収まったとしても、いつかまた
必ず甦る

その言葉を忘れていたとしても
その言葉を覚えていたとしても

それは等しく、甦るんだ

流した涙と 堪えた涙と
僕らは どっちに○をつけるべきなんだろう
叫んだ言葉と 留めた祈りと
僕らは どっちを大事にするべきなんだろう

秤に乗せられないものを あえて乗せて
それで 僕は 何を
得られるというのだろう?

どこまでも 深く 永遠に 響いて 広がってゆく
そんな言葉は
消えたとしても 消えずに残る
何度でも 甦る
求めるものはきっと
伸ばした指の ほんの少し先に

広がってゆく
響いてゆく
震えて 揺れて はためいて
流れる風を目一杯に受けて
それは多分きっと
どこまでも

僕らの言葉は
意味もなく
故もなく
価値もなく
望みも 祈りも 誓いも
あらゆる全てをも無く
生まれては消えてゆく

だから僕らは言葉を紡ぐ
繰り返し 繰り返して言葉を紡ぐ
それが歌になり 叫びになり
届いた誰かの心を
深く強く激しく
ROCKさせるまで。

苦しむだけの明日なら
笑いたいだけの明日なら
今日 どうすれば良い?

頭の上から降る光
両手を伸ばし 背伸びして
ただひたすらに
受け止める

鉢植えの花を日陰に移しても
多分 花は咲くのだろう

過ぎ行く刻のその狭間
握った拳を叩き込む

守る価値もないプライドなんて
自分自身で蹴り飛ばせ

一度途切れたその糸を
手繰り寄せてまた結ぶより
今にも途切れそうな糸を
切れないように 護らせて

今日噛み締めた唇で
明日は笑える歌を唄おう

髪まで震わす旋律を
壊れた指で 宙に追う

天から落ちる花びらの
鏡のような眩さよ

狂気の連鎖を断ち切らず
過ち知りつつ空を舞う

途切れた夢が縋り付く指先を
温かな掌で受け止めて欲しくて
今日も一人、夜を舞う

自由気ままに生きることは
思ったよりも自由じゃない
本当の自由は
「全ての束縛をどうでも良いと感じられるほど
心を奪う物事を掴むこと」

手に入れたものを失うのが怖かったけれど
失っても別に構わなかったんだ
どうせ僕らは、すぐに別の何かを手に入れる

「刹那」は「永遠」

その瞬間を、強く心に刻むことが出来れば
どんなに時が流れても、それは消えることはない
それが「永遠」

だから僕らは手を伸ばす
虚空に向かって手を伸ばす

「永遠の自由」を手に入れるために。

見えた光に触れようと
伸ばした掌 宙を舞い
哀しむよりも それよりも
道化の如き 仕草を笑え

風に向かって真っ直ぐに
両手を広げて立とうとすれば
誰かが必ず、足を引く


無垢なままじゃいられないから
いつまでも子供じゃいられないから

僕らはたくさんのものを手に入れようとする
それは強く生きるためだったり、幸せになるためだったり
そこにあるのは 一つの望み
「もっと もっと」
そんな祈りにも似た望みだから
そんな魂からの祈りがあるから
僕らはたくさんのものを手に入れることが出来る

でも、それが出来ないのなら?

掌を見詰めても何も出来ず
両手を広げても何も抱き締められないのなら
僕はきっと……

涙を流し跪きながらも
月の光を待つのだろう

目が醒めるような あの青い光を


全てが夢だと そう言って
笑う貴女の黒い目は
どれだけ時間が過ぎたとて
見上げる空は 映せない

雨上がりの田んぼを駆け抜けた風が
窓から静かに入り込んで
部屋の中は 一足早く
夏の夕暮れの匂い

今日を照らした太陽が
明日をじっくり照らすまで

求めるものなく ただ降る雨に
鈍い頭痛が甦る

歌を知らなかったカナリア。
籠の中で空を見て毎日を過ごしていた。
飼い主は彼に歌を教えた。
カナリアは喉が潰れるまで歌を唄って……
声の出なくなったカナリアは、飼い主に見捨てられた。
そして離された彼は、空を舞う。
毎日飽きもせず見上げていた、高く青い空。
溶けて消えそうなほど圧倒的に青い空を、彼は舞い続けて――
いつしか、その翼は
彼だけのメロディで歌うようになった。

旅人が森へと差し掛かったときに、雨が降り出した。
旅人はその森で迷い、力尽き、倒れて死んでしまう。
彼の残した足跡には雨が降り、水溜りが出来る。
何年か経って、その足跡は花に埋もれて消えてしまった。
もちろん、旅人の体も。

終らない夜は明けるものじゃなくて壊すもの

とろりととろけてしまうほど
甘い堕落に身を委ね

軋む両手で受け止めて
私の全てを抱き締めて

苛立ち紛れに叫んだ声が
思ったよりも良い声で
夜の帳が上がるまで
鼻歌混じりに朝を待つ

今日を限りに旅立つ人の
立ち去る背中を焼き付けて

重ねてずれる掌を
それが愛だと言わないで

天使の歌うあの唄が
全てを呪う 呪詛のよう

狂いそうなほど 笑える夜は
鈍い頭痛に 惑わされる
壊れそうなほど 叫びたい夜は
眠れない苦痛に 声も出ない

空を見上げて口ずさむのは
止まることない歯車の鳴る音

俺の名前を呼んでくれ
貴女の声で呼んでくれ
忘れられないあの日のように
今 また 俺を呼んでくれ

霧みたいに濃い陽光が
緑の芝生を蒼くする

どこまで続くのか分からないほどに
真っ直ぐに伸びる
木々のトンネルを越えて
そこに 行こう

叫ぶ声すら遮るほどに
雨が私を叱咤する

真綿の如く降り積もる
真白な雪に覆われて
燈したはずのカンテラも
燃え盛るまま 凍りつく

窓枠に切り取られた夜空に
映る色濃い満月が
ひとつに見えず 重なって
いつしか空が白むまで

古いラジオから聴こえる歌に
いつでも僕は励まされ

静かな水面に飛び込んで
凍った自分をゆっくり溶かす

届いた声を打ち消して
書いた手紙を破り捨て

天に響くは虚無の声
この地に満ちるは無形の希望

苛立ち紛れに吐き捨てた
僕の言葉を拾い上げ
綿布で優しく砂を取る
そんな貴女に恋をした

かいた恥を悔いるより
恥もかけない自分を恥じろ

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