トップの一言集。


2002/11/01 00:19:04

 流れる涙を拭うことすら忘れ、彼女はただ悲しんでいた。
 失ってしまったものを嘆き、これからのあらゆることに絶望し、ただひたすらに嗚咽をもらしていた。
 白い顔を被う掌は、冷たく、そして固く、足元に落ちる影はどこか希薄で……
 声も、涙も、感情も、魂ですら暗く沈み……
 誰の上にもそれが等しく降り注ぐことを忘れていた。

 真っ白な、陽光の存在を。

 そして彼女はまた歌い出す。そのか細い声に力強い祈りを込めて。
 世界へ、そして今はもう会うことの出来ないたった一人の人に向けて、精一杯の気持ちを乗せて、
 最高の、愛の歌を歌う。

 ヤサシイ街〜『犬と月』(未完成)より

2002/11/02 00:19:55

振るえて伸ばした指先に
触れるものは何もなく
虚しく空を切るだけならば
救いはどこにあるのだろう?

2002/11/03 00:23:16

好きなようにやらせて欲しい。
そんな台詞は
好きなようにやれるだけの
力を備えた人にのみ許されているのだろうか?

2002/11/05 00:01:24

 僕らの住む街は、とても風が強い。
 三方を囲む山々から吹き降ろす風が、街の熱気を根こそぎさらってゆく。
 この街の冬は、とても寒い。一人で眠るには、少し寒過ぎる。
 でも、僕には隣で眠ってくれる人がいない。
 かじかんだ掌を擦り合わせ、体を小さく丸めながら、僕は今年も冬の寒さをしのぐことになりそうだ。

 ただ、そんな僕らの街も夜空だけはいつも綺麗だ。

 僕はこの街に住んでいることを、とても嬉しく思っている。

2002/11/06 00:04:33

通り過ぎた季節の匂い。
記憶の奥から涌き出る、後悔を伴う過去の残滓。
手が届かないからこそ、それはとても美しく
そしてどこか切なく……。
甘い感傷だけに浸ることが出来るなら、現在なんてものには一片の価値もなくて
ただ ただ
戯れを繰り返すだけ。
幼い日に見た幻想のように。
壊れることのないガラス細工のように。
くるくる くるくると……
季節は巡り巡って、そして
いつも何かが置き去りにされてゆく。
両手を広げて抱きかかえたものは
脆く、儚く、おぼろげで…
自分の存在さえ不確かなままでは
得られるものも高が知れている。

目を開くのは、今。
失うことを知ってなお、手を伸ばし続けようじゃないか。
奪われてしまったとしても、それは大したことじゃない。
僕らにはまだ、残されているものが沢山あるのだから。

2002/11/07 00:05:14

今日の疑問。

労働基準法って何?
  訳:PM3:00〜AM5:00まで働かされたこっちの身にもなってくれ、と。

2002/11/07 00:23:56

長年連れ添ったPCもついに寿命。
切ないやら物悲しいやら……
PC新調したら金欠。
血反吐を吐くまで働けと?

2002/11/09 00:17:59

そんな横顔はみたくない。

どんなに現実に打ちのめされても
涙が枯れるまで泣き続けても
僕の前では、いつも穏やかな笑みを絶やさぬキミ。
弱い部分を決してみせようとせず、
全てのトラブルを自分の力だけで解決して来たキミ。
誰の力を借りなくても、
自分が何をすれば良いのか分かっていたキミ。
僕に泣き言をもらさないで、いつも一生懸命に生きていたキミ。

だから

僕はキミのそんな横顔は見たくない。
今にも零れそうな涙を堪え、
痛みを吐き出すことが出来ずに苦しんでいるような、
そんな、中途半端な横顔は。

どうせなら……
弱さも含めた全てを、キミと共有したいから。

2002/11/11 00:01:04

胸の中央のその奥に
僕のそこには穴がある。
じわじわ じくじくと
耳を澄ましてなお、幽かにしか聞こえない音で
今日も広がり続けている。

でも、そんなものは誰もが持っているものだし、
その穴が原動力になることだってしばしばある。

鈍い頭痛は今日も続く。
考えて、悩んで、悔やんで、うらやんで、望んで、
祈って
壊れた肉体に黒く染まった魂を宿して
僕らはこの時代を生きる。

2002/11/12 00:01:47

「何かあったの?」

「何もないさ。キミに話すようなことは」

2002/11/13 00:01:33

「もう止めにしようと思うんだ」

「何を?」


「この夜に、逃げ込むのは」

2002/11/14 00:02:56

だから

泣けない涙を抱き締めて、苦しむしかない夜に
その名前を呼ぼう。

穢れを知ることのなかったあの日に思い描いた夢を
決して忘れることのないように。

名前を呼ぼう。
叫びと共に。

だから
その名前を呼ぼう。

2002/11/14 00:23:27

鈍い頭痛を堪えながら
必死に頭を悩ませる。
少しだけ、ほんの少しだけ……
懐かしい気持ちになった。

新PC、今だネット接続上手くいかず。

2002/11/15 00:23:37

本気を出して自分をさらけ出す瞬間。
ずっと求めていた、じりじりと焦がれるような瞬間の連続。
望まずとも、手に入るというのなら
俺はあえて逃げようとはしない。
少しでも
あの頃の自分を取り戻せるというのなら。
それが唯一の鍵だというのなら。


2002/11/16 00:14:35

行って来ます。
一週間ほど留守にします。
探さないで下さい。
(むしろ助けて下さい。)

2002/11/20 00:23:30

復帰。

ただいまの挨拶よりも、今は
この心地よい疲れに身をゆだねて
4日という短い期間に得られたことの全てを思い浮かべながら
眠りにつきたい。

一両日中に研修レポ上げる予定。

2002/11/21 00:22:18

さて……
そろそろ本来のペースを取り戻そうかな。
いらんこと全部捨てて、やりたいこと最優先で行こう。
それが、俺の流儀だ。

頭の芯がとろけてしまうような
熱く、でも身が引き締まるように冷たい
真夜中の光よ。
僕は真っ直ぐに見詰めよう。
瞳を逸らさずに、一心に見据えよう。
開放された自分に覆い被さるのは
夜を蒼く染める銀の輝き。

2002/11/22 00:14:47

空白じゃない。
この日々は、空白なんかじゃない。
次の祭りが始まるまでの日々
決して空白なんかじゃない。

僕らはこの日々に
今までに得られなかったものを
少しでも得よう。

この日々に、感謝している。

2002/11/23 00:04:22

時間よりも大切なもの
自分よりも大切なもの
孤独よりも大切なもの
自由よりも大切なもの

2002/11/24 00:01:42

恐れることに意味はなく
退くことで得られるものなどない
本当の敵は自分の中にある
ほんの些細な迷い。

それと、冷たい世界。

2002/11/26 00:02:15

生の実感を得られる瞬間には
常に 痛みと恐怖が付き纏う。
容易く得られるものの中になど
本当の生はない。
さあ、自ら進んで泥に身を投げ入れよう。
その瞬間こそ
生への歓喜。

2002/11/27 00:01:22

「回廊階段の陽気な住人」


 とある集合住宅には、回廊階段と呼ばれる階段がある。
 高層建築のそのビルディングには、当然エレベーターがある。だから、この階段は普段から誰も使わない。中央が吹き抜けになっているので、設計技師が遊びで作った回廊階段。
 誰も使うことのない、本来の目的を忘れた階段。
 そこには、いつからか人が住んでいるという噂が立った。とても、とても陽気な住人がいるのだと。
 白い雪が、まるで紙吹雪のように舞う日、一人の少女が死んだ。彼女の部屋は23階にあった。
 回廊階段から飛び降りたのだ。
 陽気な住人に誘われたのだと、誰もが噂した。そして、また一人が階段の上から宙を舞った。
 一年の内に、14人の少年少女がその回廊階段で死んだ。
 集合住宅に住む家族は軒並み転居し、その建物は廃墟同然となる。
 それでも、破格の家賃に惹かれ転居してくる家族がぽつぽつとあった。
 そして、陽気な住人達の仲間が20人を超えた頃、僕はそこを訪れることになった。

 僕と、たった一人の助手はその回廊階段を見上げている。
 僕は、即直な感想を助手に言った。
「ここにいてはいけない気がする」と。
 そして助手は答えた。
「僕も同意です」
 分かるのだ。僕らには。ここには、本当に住人がいる、と。そしてそれは陽気な住人なんかではなく、とても恐ろしい住人である、ということが。
 回廊階段の各入り口は、今では封鎖されている。鉄の扉を溶接して止めてある。誰もその封を解いてまで立ち入ろうとは思わないだろう。ここにはちゃんとエレベーターもあるのだ。
 40階分の、回廊階段。僕らはそれを見上げている。
「行ってみる」
 決意した訳ではない。ただ、これが僕の仕事だから、という歪んだ義務感から、僕は足を進めた。
 それが失敗だった。
 依頼主である市の役人から貰った鍵で、一階の扉(ここだけは扉が開く)を開け、中に入る。
 そこは、既に陽気な住人達の住処だった。
 階段に足をかけた瞬間、僕の意識は肉体を離れていた。そして、天へと飛ばされる。
 40階分を一気に駆け上がった意識は、止まらずに地面を目掛けて落下する。
 僕は何も出来ず、流れる手すりと階段に、住人の顔を見た。なるほど、確かに彼らは陽気だ。
 その陽気さが、とても恐ろしい。
 僕が死の恐怖に錯乱する寸前に、意識は肉体に戻された。
 本当に、殺されるかと思った。
 がたがたと大げさに震える肩を抱き、転げるようにして扉の外へ。
 助手も青い顔をしていた。彼は聞いてしまったのだ。陽気な住人の、底抜けに陽気な話し声を。
 僕はまだ震えている手で扉に鍵をかけた。
「帰ろう。ここにいてはいけない」
 陽気な住人は、いつでも誰かが訪れるのを待っているのだから。
 足を踏み入れた者は、区別なく歓迎されてしまうのだから。
 僕はたまたま逃げ延びることが出来た。でも、もし……
 陽気な住人に気に入られてしまえばと思うと、怖くなる。
 その回廊階段は取り壊されることも出来ずに、まだ残っている。集合住宅としての機能は崩壊した今でも。
 ホームレスややくざ者ですら近付かない、陽気な住人の住む回廊階段。
 まだ、それはどこかに存在している。
 もしも貴方が足を踏み入れることがあるのなら、覚悟しなくてはいけない。
 彼らは、とても陽気に人を殺すことが出来るのだから。
 陽気な回廊階段の話。それは終わることがない。
 あの恐怖は、僕の中に確かに刻まれている。

2002/11/28 00:01:47

渇いてひび割れてしまった夢を
それでも捨て去ることが出来ずに
いつまでも みっともなく しがみついている 俺。
涙を流して叫んだ夜の数と
痺れを感じた熱い鼓動の数と
口に出すことの叶わなかった望みの数。
俺の夢は、それらの数だけひび割れてしまっている。
だから 今
そのひびの一つ一つを確かめるようにして
ざらついた夢の破片を指でなぞる。
その行為には何の意味もない。
ただの、儀式でしかない。
鋭い視線を取り戻すための儀式でしか。

そして俺は今日も半分の月に咆える。

2002/11/28 00:23:37

この気持ちは何に例えればいいだろう?

諦めることの出来ない、この気持ちは…?

掌を見つめても、そこには何も無かった。

2002/11/29 00:22:53

キミのことを思い出した。とても久し振りに。
伝えたかった言葉を思い出そうとして、思い出せないことに驚いた。
僕の中から、キミの姿が消えてしまいそうになっていることに、恐怖した。
でも、きっと何処かに残っているはずだ。
キミに、伝えたかった言葉が。

だから僕は僕の中を漁るようにして、今日も文章を書いている。

2002/11/30 00:18:41

この先に続く道を見詰めて
あまりの道程の長さに
「自分のペースで歩けば良い」
なんて悠長なことを言っていられないと気付き
大きく息を吸い込んで、駆け出す。

そして足元の石につまづき、転ぶ。

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