『終焉の鐘』

全て砂に落ちた今
伸びる無数の影たちは
過ぎ去った日の僕の姿顔のないひとがたが
今の僕を 黙って見つめている
届く声の響きはただ重く
耳を塞ごうとしても意味はなく
両手は震え 何故だか涙が溢れる
一度止まった足は 鈍く 冷たく 鉛のようで
動かない
「違う!」と声を張り上げても
影は全てを吸い込み
ただ そこに立っている
僕が望んだ自分は どこに行ったのだろう?
追い掛けても その背中すら見えない
どこに行けば会える? どの道を選べば?
でもきっとやり直しても 僕はまたここに来るだろう
いつか夢見た自分なんて どこにもいなかったのかな?
いつでも一人きりだった 淋しい僕
影たちは何も言わない
憐れむことだけはしなかった
自分が嫌いだった
一番になれない僕は赦すことも出来ずに
安い間違ったプライドに 自由を奪われて
届きもしない幻に 麻薬中毒者のように手を伸ばして
脆い足場は崩れた
本当の自分を隠して 守り 育てもせずに
邪魔な服ばかり着て……
脱ぎ捨ててしまえば楽になれるのに
僕でいられるのに
影は何も言わない
僕は砂から出れない

夢は終わらない
だからこそ辛いこともある
夢の終わりを告げる鐘は
僕の夢まで届かない
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