nothing

何も出来ないまま このまま
僕の手は砂に堕ちて
堪えきれない想いの全て
全て闇に堕ちてゆく

いつか 誰かのためだけ
僕が してあげられること
きっと あるはずと思ってた
あの日の心のままに

灰色の霧の中を
一人 歩き続けてる
足跡すら 残せないまま
僕の影すら 残らず

この目が写す景色
僕が紡いだ言葉
想った気持ち
願った祈り
全て ただ消えるなら

何も言えないまま このまま
僕の叫びが途切れて
血を吐くような激しい想いも
やがて砂に堕ちてゆく

街は 雨の予感に
誰も 足取りを早める
僕一人 残すように
人込みは流れてゆく

川を眺めていた
時を見送るように
知らず頬を流れた涙は
波紋すら残さず消えてしまったから

ああ……!
叫びすらも
誰にも届かぬなら
握るこの掌の中に
何も残らのなら……!

崩れた膝に 祈りを込めて
億の雨粒を数え
誰かの手が差し伸べられるのを
ただじっと待つだけなら

僕の この指の先にすら
何も 触れないまま
吹く風に奪われた温もりも
消えて 戻らないまま

何も見えないまま このまま
瞼はゆっくり閉じて
輝き満ちた景色の全て
途切れて闇に消えてく

今日も誰かを傷付けた
僕の腕はとても細くて
抱き締められる 強さもなくて
ただ突き放してしまう

後悔だけを するくらいなら
もっともっともっと……!
過ちなんて 怖くないから
僕だけは傷ついても構わないから……!

守るものなんて
貴女しかいないから

何も言えないまま このまま
遠ざかる背を見詰めて
吹き荒れたこの街の埃が
二人の間に太く厚い線を引く……!

ああ……! もっともっと……!
この手に力があれば!
もっともっと……!
貴女の近くに行けたら!
過ぎる日々の中変わり続ける貴女を
見詰められたなら……!

何も 出来ないまま……
何も 見えないまま……
何も 言えないまま このまま
僕は一人ここで俯いて立っている……

何も出来ないまま このまま
僕の手は砂に堕ちて

握り締めた渇いた砂粒を
力任せに叩きつけたとしても……

堪えきれない想いの全て
全て闇に堕ちてゆく

堕ちた闇の中で足掻き続け
光目掛けて届かない指を伸ばして……

狂ったように叫びを上げて
潰れた喉で音を叫び続けて
握った拳をただ振り上げて
ああ……どこに向けて降ろせばいいのだろう……!

もう……僕の声は
想いすら紡ぐことなく
祈りのままでいられないのなら
こんな喉など 二度と唄えないように……!

何も 出来ないままじゃなかった
きっと そのはずだった
無残に流れた時間の中で
僕は少しずつ削られ 奪われてきた……!
なんで! もっと!
僕は手を伸ばさなかったんだ
どうして! 僕は!
貴女の隣にいないんだ!
流れ落ちた涙は一粒残らず
砂に飲まれ消えて痕すらも無く

なにも かもを なくして

なにが ぼくは ほしくて

何も 貴女に伝えられずに
黒い砂に深く深く飲まれて消える……

なにも……
なにも……
何も 出来ないまま このまま……
inserted by FC2 system